編みもの手帖

編み物を中心にハンドメイドについてのんびり綴ります。

棒針編みのあみぐるみ

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お友だちに頼まれて、こんなに編んじゃいました。

最近、あみぐるみのクマとウサギを大量生産しています。

「あみぐるみ」と聞くと皆さんはどんなものを想像しますか?

おそらく、かぎ針で編まれた可愛らしい動物やなどを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。

でも、今回は日本ではあまり馴染みのない、棒針で編んだあみぐるみをご紹介します。

《目次》

  1. 「amigurumi」は今や世界共通語
  2. オススメ! 海外のあみぐるみ本
  3. 手始めに、こちらのフリーパターはいかが?
  4. こちらの「Knitted Babes」もオススメ。

私があみぐるみと出会ったのは20世紀の終わり。...と書くとまるで大昔。

タカモリトモコさんの『あみぐるみ絵本』との出会いがキッカケです。

レトロな雰囲気を漂わせつつも新しさも感じられて、とても素敵な作品が満載です。この中から、クマ、イヌ、ネコ、ウサギ、カエルと飽きることなく編みました。

タカモリさんの作品に代表されるように、日本のあみぐるみには独特の可愛さがあるように思います。

編み物は元々西洋のものですし、あちらにも古くからあみぐるみはあったと思います。

私の記憶ですが、20年くらい前まではCrochet toyとかKnitted toyとか、つまり編み物のおもちゃ、って呼ばれていた気がします。

それが日本で独自の発展をとげたというか、いつしか海外でも「amigurumi」というジャンルが確立されていったんですね。

「kawaii(カワイイ)」も世界共通語として知られていますが、私には従来西洋にあった編み物のおもちゃとkawaiiが結びついてamigurumiが生まれたんじゃないかな...、なんて思えます。

さて、当時すっかりあみぐるみにはまっていた私に新しい世界を見せてくれたのがイギリスのニットデザイナーDebbie Blissさんです。

こちらの『Toy Knits』を本屋で見つけた時は、「可愛い! 棒針でもこんなに自由に形成できるんだ」と感動しました。

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こちらは私が編んだToy Knits。かろうじて写真だけが残っていました。

それまで私が知っていたのはかぎ針で編むあみぐるみでしたが、Debbieさんのは棒針です。

棒針編みでは、平面で曲線を描いたことはありますが、あみぐるみのような立体を作ったことはありませんでしたし、想像すらしませんでした。

けれどもクマの鼻先のとがりやかかとの曲線など、目の増減で見事に表現しているんです。

編み物の奥深さを感じた出会いでもありました。

でも、編んでみると意外と簡単だったりして。そして、編み上がりはかぎ針編みのあみぐるみと比べて柔らかく優しい風合いです。

すっかり気に入ってしまい、ちょうど英語の編み物パターンにも挑戦し始めたというのもあって、格好の教材だとたくさん編みました。

ところが、どういうわけか編んだ作品がまったく残っていないんです。

本は手元にあるので、また編んでみようかな。

冒頭で「最近、あみぐるみのクマとウサギを大量生産しています」と書きましたが、そのパターンを紹介します。

編み物のSNS「Ravelry」で公開されているフリーパターンの「Henri」です。

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私が編んだ「Henri」第1号。耳がえらく外側に着いてます。

作者はRachel Borello Carrollさん。こんなに可愛いパターンを無料で公開してくれるなんて太っ腹です。

このパターンはサイズが小さくて手軽に編めるので、棒針のあみぐるみや英語のパターンが初挑戦という人にオススメです。フリーなので気軽に試せますしね。

数時間で編めるので、時間がない時のプレゼントにもいいと思います。

私はツイードとかスラブの糸で編むのがお気に入りです。編み目が不揃いになるのが、かえって素朴な雰囲気を醸し出して手作りの良さが出る気がするので。

お気に入りの糸が少し余ったら、ぜひ編んでみてください。

もう一つ、棒針編みのあみぐるみをご紹介します。

Clare Garlandさんという、こちらもイギリスのニットデザイナーの「Knitted Babes」です。

www.amazon.co.jp

これは初めて見たときのインパクトが大きかった。日本人の感性ではなかなが生まれないのでは、という個性的な人形です。

形はどちらかというと平面的で、胴体と頭をメリヤス編みで平らに編んだものを2枚はぎ合わせて綿を詰め、手足と髪の毛、顔のパーツを付けます。

目の色や形、髪型で個性が出せると思います。

私が作ったのはこちら。

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オリジナルはもっと手足がひょろ長いです。

ワンピースはリバティーのアイアンシー柄。髪の毛は柄に使われている紫色に合わせました。

私、子どもの頃は人形遊びに興味なかったんですが、こうして作ってみると結構楽しいですね。

皆さんも、棒針で編むあみぐるみやお人形、ぜひ楽しんでください!

麻ひもで3種類のバッグを編みました

以前、春夏糸の定番「エコアンダリア」について書きました。

www.amimonotecho.net

今回はもう一つ、夏になると出番が増える素材、麻ひもについて。三つのバッグを編んだので「編みレポ」します。

《目次》

  1. 麻の種類いろいろ
  2. 2種類の麻ひもを編み比べ
  3. 引き揃えても楽しい

一口に麻といってもその種類は様々です。ちょっとおさらいしてみます。

リネン(亜麻)やラミー(苧麻)、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻)サイザル麻、マニラ麻などが手芸材料やアパレル製品としては馴染み深いのではないでしょうか。

この中でものはリネン(亜麻)とラミー(苧麻)の二つだけが、日本では衣料品として「麻」と表示できます。

一方、ヘンプ(大麻)、ジュート(黄麻)は糸や紐に加工され手芸材料として目にすることが多いです。

私はこれまでにリネンのレース糸でドイリーを編んだり、ヘンプの紐でマクラメのアクセサリーを編んだり、ジュートの糸でコースターを編んだりしたことがあります。

今回は手芸屋さんに行った際、ダルマ(横田株式会社)の「麻ひも」がずらりと並んでいるのが目に入って思わず買ってしまいました。

ふと「そういえば麻ひものバッグは作ったことがないな、一度くらいは作るかな」と浮かんだんです。

ちなみにダルマの「麻ひも」はジュートです。パッケージにも「JUTE 100%」と書いてありますね。

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今回使ったのは写真の二つ。

コクヨの「麻紐」(左)とダルマの「麻ひも」(右)です。

まずはダルマの麻ひもで長方形底のトートバッグを編みました。

この糸は編みやすさと仕上がりの風合いにこだわって作られているようで、糸玉の帯に次のように書かれています。

「ソーピンク加工によりやわらかく編みやすい麻ひもに仕上がりました。」
「ソーピングとは糸を染色した後に汚れや油を洗い落とすことを言います。ソフトでやわらかな風合いに仕上がります。」

実際の編み心地は「まずまずの編みやすさ」といったところでしょうか。言い換えると、編みにくさは感じませんでした。

ただ、5分ほど編んだところで、糸をかけていた左手の人差し指が擦れて赤くなってきたので、マスキングテープを指に巻いて対応することに。

すると、糸の滑りもよくなって、指を痛めることもなく編めました。

こちらが出来上がりです。

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幅:33cm, 高さ:20cm, まち:10cmでちょうど2玉使いました。

次に編んだのはコクヨの「麻紐」を使った3 Way バッグです。

1つ目のトートを編んでいる最中に、SNSで色々な人の麻ひもバッグを見ていたのですが、コクヨの麻紐を使っている人があまりにも多く興味を持ったんです。

商品パッケージには箱を紐で縛ったイラストが描かれているので、本来は梱包用なのでしょう。

ところがコクヨのサイトを見て驚きました。

商品サイトには「使い方いろいろ♪」「麻紐編みの人気作家青木恵理子先生も愛用!」とかなりのページ数を割いていて、編み図や作品ギャラリーもありました。手芸材料としてかなり使われているようです。

SNSを見ても思いましたが、麻ひも編みって、一大ジャンルなんですね。恥ずかしながら知りませんでした。

さて、話を戻します。

私は3 Way バッグを編んだのですが、まず編みはじめてびっくり。ダルマの麻ひもよりも柔らかいんです。

うっかり指にテープを巻かずに編みはじめてしまったのですが、痛くなりませんでした。

※商品サイトには「麻紐の擦れを防ぐためにばんそうこうを指に巻いておくことをおすすめします」と書かれています

今回はエコアンダリアと引き揃えて編みましたが、馴染みもよくスルスルと快適に編めました。

こちらが3Way バッグの編みあがりです。

(1) 手提げ
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(2) ショルダー
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(3) クラッチ
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手提げの状態で幅:29cm, 高さ:32cmで330g使ったので、2/5玉くらいで編めた計算です。経済的ですね。

糸がだいぶ余ったので、もう一つトートバッグを編むことにしました。今度は楕円底の横長形です。

こちらはNoroの「クレヨンソックヤーン」と引き揃えました。

今回は3つのうち2つのバッグを異素材との引き揃えで編みました。

色で遊んでみたかったので、カラーの麻ひもを買ってもよかったのですが、家に余り糸がたくさんあったので節約してそちらを使うことにしたんです。

3Way バッグの方はエコアンダリアを2色使ってボーダー模様にしました。茶色とミントグリーンでチョコミントの配色です。

これが編み地のアップです。

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エコアンダリアと麻紐との相性はいいと思います。

編む前は麻紐の毛羽立った感じとエコアンダリアのビニールっぽい艶を合わせた時にどうなるかおっかなびっくりでしたが、なかなかどうして。

麻紐と合わせるとエコアンダリアの艶が中和されて意外と馴染みます。編み地に明るさがプラスされた感じです。

「ビニールっぽい」と書きましたが、エコアンダリアはレーヨン100%の天然素材。同じく天然素材の麻とは相性がいいのかも。

引き揃えなのでボーダーのコントラストは弱めです。もう少し太いボーダーにした方がボーダー感が出たかなぁ。

これで麻紐の引き揃え編みに味をしめてもう一つ編むことにしました。

二作目は一作目の反省点も踏まえ、コントラストが弱まるのを逆手にとってグラデーション糸と弾き揃えることにしました。

グラデーション糸といえば、Noroをおいて他はないでしょう。大好きなんです。

クレヨンソックヤーンの余り糸が何種類かあったので、その中からアース系のカラーを選びました。茶−黄−緑−青のグラデーションです。

こちらは思惑通り。いい雰囲気に仕上がりました。

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編み地のアップです。
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異素材との引き揃えは素材同士のコントラストが強いもの、調和して馴染みが良いもの、それぞれに良さがあって楽しめますね。

秋になったらウール素材と麻の組みあせも編んでみようかな。

麻ひもの編み物と引き揃え編み、おすすめです。皆さんもぜひお試しください。

赤ちゃんのおもちゃをプレゼント:かぎ針編みのボールを作りました

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お知り合いの赤ちゃんのためにおもちゃを編んで欲しい、と頼まれました。洗えるもの、というのが条件です。

ボールとかはどう?と提案されたのですが、綿を詰めた球体は洗濯後に中まで乾かすのが大変そう。そこで思いついたのが上の写真のパズルボールです。

《目次》

  1. パズルボールは伝統的なパターン
  2. パズルボールの作り方
  3. カラフルにしたら知育おもちゃになるかも

「パズルボール」って聞いたことはありますか? 「Amish Puzzle Ball」とも言われています。

20年以上前になりますが、私はパッチワークで作ったことがあります。

起源は調べがつかなかったのですが、アーミッシュというくらいなので欧米のどこかなのでしょうか。いずれにしても昔ながらのおもちゃのようです。

三個の円盤型のパーツを組み合わせてボール型にする仕組みです。

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写真のようにパーツの切れ目に別のパーツを差し込んでボール型に組み立てます。

ネットで「Puzzle Ball」と検索するといろんな素材で作られたものが見られます。皆さん、思い思いに楽しんでいるようですね。

私が今回の依頼にパズルボールを思いついたのは、組み立てるというおもちゃとしての面白さと、洗えるというリクエストの両面からです。

一つ一つのパーツが平たいので、球体よりは乾かしやすいのでは、と思ったんです。

ここではかぎ針編みのボールについて大まかな手順を書いていきます。

まず、円錐形のパーツを12個と、それらをつなぐ帯状のパーツを3個作ります。

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円錐は半円を綴じた形です。私は綴じ接ぎが好きではないので、輪に編んではじめから円錐形にする方法にしました。

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こんな感じです。

正円を編む時は1段の目数が6の倍数になるよう増し目していくので、今回は半円ということでその半分、3の倍数で編んでいきます。

1段目は輪で作る作り目で細編み3目を編み、2段目は6目、3段目は9目、4段目は12目、と編み進めます。

作りたいボールの半径の高さまで編みます。これを12個作ります。

帯状のパーツは往復編みで楕円形が4つ繋がった形を編みます。

1段目は鎖編み1目に細編み2目を編み入れて、2段目は折り返し2目を編みます。

3段目以降は奇数段で初めの目と最後の目に2目ずつ編み入れる増し目をして、偶数段は増減なしで編みます。

円錐パーツの最終段の目数の半数が1つの楕円形パーツの段数になります。この段数の半分まで増し目をしたら、残りの半分は奇数段の両端で減らし目をしていきます。

これを糸を切らずにつなげていって、楕円形が4つ繋がった形にします。これを3つ作ります。

すべてのパーツができたら円錐形のパーツに綿を詰めて帯状のパーツで蓋をするように綴じていきます。

4つの円錐パーツが綴じ終わったら、輪に縫い止めます。これを3つ作ります。これで出来上がり。

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これらを組み合わせるとボール状の形になります。(上から2つ目の写真を参照してください)

今回は色のリクエストがあったので、緑のグラデーションで編みましたが、円錐形のパーツを一つずつ色違いにしても可愛いと思います。

小さな子どもに色を覚えさせるのに役立つかもしれません。どうでしょうか?

また、海外のサイトを見るとアクリル糸で編んでいる人が多いですね。お手頃価格ですし、扱いやすく色も豊富なので。

私は今回オーガニックコットンで編みました。こちらも小さなお子さん用には安心できる素材だと思います。

皆さんも思い思いの工夫をしてパズルボールを作ってみてはいかがでしょうか?