ガーター編みでつくるズパゲッティの小物入れ
先日、書店で雑誌『Mart 3月号』を手に取りました。短期連載中の「編み図がなくても簡単『ズパゲティバック』のつくりかた」のチェック(有り体に言えば立ち読み)が目的です。
今回は引き抜き編みでつくるマルシェバッグと2月号の表紙になっていたクラッチバッグの編み方が掲載されています。それぞれ違う作家さんが教えてくれていてお得感がありますね。
まだまだブームが続く気配のズパゲッティをはじめとするTシャツヤーン。
アップサイクルヤーンの場合、素材は個体によって様々です。私が初めて買ったのはズパゲッティで、素材は伸縮性の強い生地でした。
初めてのズパゲッティ、ワクワクしながら編んだところ編み地がすごく歪むんです。ゆるく編んだり、きつく編んだりと試しましたものの歪みは解消されませんでした。
ですが、編み針をかぎ針から棒針に変えたところ、それがあっさり解消したんです。そこで、さっそく棒針を使って小物入れを編んでみました。
《目次》
1.編み地が歪むのは仕方がない?
かぎ針編みのメカニズムについては詳しいことはわからないのですが、私の経験では伸縮性の強い糸で編むと、編み地がねじれるように歪みます。伸縮性が弱いものではそれほど歪みません。
昨年参加したワークショプで、プロのかぎ針編みデザイナーさんにこのねじれについて尋ねたところ「仕方がないこと。スチームアイロンで形を整えるといい」と言われました。
専門的なことはともかく、糸によっては歪みは仕方がないことのようなのです。
あるいは往復編みをすれば、1段おきに逆方向の力が加わるので捻りは相殺され歪みも生じないでしょう。
2.棒針編みの基本「ガーター編み」
Tシャツヤーンでの編み物では、小物をつくることが多いせいか、編み地のしっかりするかぎ針編みが好まれる傾向があります。冒頭で触れた『Mart 3月号』の掲載作品もかぎ針編みです。
ただ、かぎ針編みは編み地がしっかりするという長所がある反面、同じ面積を編むと棒針編みに比べて糸を消費する=重くなる短所もあります。
今回、私が編みたいと思っていた糸の分量を考えた時、かぎ針で細編みをすると糸が足りなくなりそうだったので、棒針で編むことにしました。
編み地はほどよい厚みが出て、丸まりなどの癖が出にくいガーター編みにをチョイス。
ガーター編みはメリヤス編みと並ぶ棒針編みの基本です。往復編みの場合は行きも戻りも表編みをすればいいので、メリヤス編みより簡単だと感じる人もいるかもしれませんね。
しかも、簡単でありながらメリヤス編みよりは編み目のアラが目立ちにくいので初心者にはうってつけです。
さらに、上級者にも愛好者が多いのも、ガーター編みの奥深いところ。編み物のSNSサイトRavelryではガーター編み愛好者のグループが複数あり、そのメンバーの中にはプロ並みの腕前の人がゴロゴロいます。
色々と応用の効く編み地なので、腕の立つ人ほど創意工夫ができるのかもしれません。私は腕が立つわけではありませんが、ここ数年で次第にガーター編みの良さがわかってきた気がします。
3.ズパゲッティのガーター編み小物入れ
小物入れの編み方の手順をざっと紹介します。
1. まず底をガーター編みします
2. 次に側面を帯状にガーター編みします。編み地の横幅が、出来上がりの高さになります
(パーツが編めたところです。紫が底、カラフルな帯が側面です。)
3. 底のパーツに側面のパーツをかがりつけます
私は伸び止めにバック細編みで縁どりをしました。側面の、底にかがりつけてない方です(深緑の糸)。
出来上がりです。
この小物入れは猫のお手入れグッズを入れてカウンターに置くことにしました。白い壁紙に適度に馴染んでいい感じです。
これはひっくり返せばティッシュボックスカバーにも応用できそうです。いつか試してみようかな。
ガーター編みは特に縦方向に伸びるので、バッグのように下に力が加わるものを作るには中袋は必須だと思います。
けれども置き型のカゴならば伸びる心配もないので、そのまま使えていいのではないでしょうか。
いつもはTシャツヤーンをかぎ針編みしている方も、たまには棒針編みはいかがですか?